この記事では近年、動脈硬化などの予防や中性脂肪、LDLコレステロールを低下させる働きがあるといわれている「ポリコサノール」について、成分構成比や開発の歴史、成分の効果や役割などを詳細な研究データをもとに紹介しています。

 

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ポリコサノールとは、サトウキビの葉と茎から採れるワックス(植物を保護する抗酸化脂質)から精製された8種類の高級脂肪族第一級アルコールの混合物である。

オクタコサノールを最も豊富な成分として含み、テトラコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、ノナコサノール、トリアコンタノール、ドトリアコンタノール、テトラトリアコンタノールで構成されている。

ポリコサノールは、キューバ国立科学研究所によって開発された混合物で、ポリコサノールという名称は1992年にキューバの科学研究報告書で初めて使用され一般に知れ渡ることになった。

■ポリコサノールの構成比

名称 構成化
テトラコサノール 0.01~2.0%
ヘキサコサノール 3.0~10.0%
ヘプタコサノール 0.1 ~3.0%
オクタコサノール 60.0~70.0%
ノナコサノール 0.1~2.0%
トリアコンタノール 10.0~15.0%
ドトリアコンタノール 5.0~10.0%
テトラトリアコンタノール 0.1~5.0%

 

■8種類の高級脂肪族第一級アルコールの化学式

名称 化学式
テトラコサノール 1-tetracosanol C24H49OH
ヘキサコサノール
1-hexacosanol
C26H53OH
ヘプタコサノール 1-heptacosanol C27H55OH
オクタコサノール 1-octacosanol C28H57OH
ノナコサノール 1-nonacosanol C29H59OH
トリアコンタノール 1-tricontanol C30H61OH
ドトリアコンタノール 1-dotriacontanol C30H65OH
テトラトリアコンタノール 1-tetratriacontanol C32H69OH

 

■ポリコサノールはキューバで開発された新成分

1980年代に、天然資源製品の潜在力を調べるために、キューバ国立科学研究所(キューバ ハバナ市所在)は、いくつかの過去の資料に基づいたサトウキビワックスアルコールについて研究を始めた。

第一に、小麦胚芽油が、コレステロールの高い餌を与えたうさぎの肝臓のコレステロールの増加を減少させるということを報告した研究があるが、これはビタミンEに起因しない効果だった。

それから約20年後、日本の研究員は、主要成分が脂質(ワックスや脂肪アルコール)、消化されていない食物性繊維、そしてサトウキビの皮を食べさせたマウスが、対照群と比較して血清や肝臓のコレステロール、そして中性脂肪(TG)が低下したことと、さらにネズミのえさに0.5%のサトウキビワックスを加えたものが血清と肝のコレステロールを著しく低下させたということを発見した。

また、他の研究では0.3%のオクタコサノールを補充した餌を食べさせたマウスの水泳の持久力が増加し、中性肝脂質とコレステロールが低下した事を発見し、オクタコサノールが脂質でエネルギーへの転換を促進したと結論付けた。

総合的に、制限的ではあるが、このような証明はサトウキビワックスアルコールが有益なコレステロール調節の効果を持つことができるということを示唆した。

これによって、予備研究以降、ポリコサノール(policosanol)と呼ばれる、8つの高分子量アルコール<テトラコサノール(tetracosanol、C24)、ヘキサコサノール(hexacosanol、C26)、ヘプタコサノール(heptacosanol、C27)、オクタコサノール(octacosanol、C28)、ノナコサノール(nonacosanol、C29)、トリアコンタノール(triacontanol、C30)、ドトリアコンタノール(dotriacontanol、C32)、テトラトリアコンタノール(tetratriacontanol、C34)の混合物を開発し、その品質、安全性や効能が研究され、1991年にキューバのマーケティング当局が最初に販売権を獲得しており、ポリコサノールという名称は1992年科学研究報告書で初めて使用された。

その後、7,000人以上の人を対象にした無作為抽出の短期および長期、プラセボ対照試験、そして一対一 (head-to-head) の比較臨床研究や、500人以上の人員を対象にした開放研究を含む、15年以上にわたって行われた実験研究と臨床研究は、ポリコサノール5㎎、10㎎または20㎎の錠剤の効能と安全性を立証してきた。 さらに、長年にわたって追跡されたポリコサノールで治療された30,000人以上の中年および老年層の市販後検査(PMS)研究も製品の優れた安全性を証明した。

監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師 斎藤 糧三 医師

1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立。
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。

参照元
• Alfin-Slater RB, Auerbach S, Shull RL. Effects of vegetable oils on hepatic cholesterol levels. Fed Proc 1960, 19:18, 1960.

• Sho H, Chinen I, Uchihara K, Fukuda N. Effects of Okinawan sugar cane rind on serum and liver cholesterol and triglyceride levels in the rat. J Nutr Sci Vitaminol 27:463-470, 1981
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7320772/
https://agris.fao.org/agris-search/search.do?recordID=JP8206163

• Sho H, Chinen I, Uchihara K. Separation and partial purification of wax and fatty alcohol from Okinawan sugar cane rind lipids. J Nutr Sci Vitaminol 29:313-322, 1983
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6619993/
https://agris.fao.org/agris-search/search.do?recordID=JP9303652

• Sho H, Chinen I, Fukuda N. Effects of Okinawan sugar cane wax and fatty alcohol on serum and liver lipids in the rat. J Nutr Sci Vitaminol 30: 553-559, 1984
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/6533274/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnsv1973/30/6/30_6_553/_article/-char/ja

• Shimura S, Hasegawa T, Takano S, Suzuki T. Studies on the effect of octacosanol on motor endurance in mice. Nutr Rep Int 36:1029-1038, 1987.
https://eurekamag.com/research/001/956/001956883.php
https://jglobal.jst.go.jp/en/detail?JGLOBAL_ID=200902044642795715

• Mas R: Policosanol Drugs of the Future 2000, 25: 569-586

• Hernandez F., Illnait J., Mas R., et al. Effects of policosanol on serum lipids and lipoproteins in healthy volunteers. Curr Ther Res 1992, 51: 568-575.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2014982/