要約:ポリコサノールは数々のヒト臨床試験や動物試験により安全性が立証されており、その実験の詳細や結果について説明している。
1.実験毒性学
ポリコサノールは、げっ歯類および非げっ歯類での、1回および反復用量投与毒性実験、invitroおよびinvivo遺伝毒性の可能性実験、胎児および生殖毒性実験、および長期経口発がん毒性の研究を含む広範な研究で潜在毒性を評価した。これらの研究では、ポリコサノールに関連する毒性は観察されなかった。最大推奨ヒト用量(20mg)よりそれぞれ17,240および1,724倍多い用量である、亜慢性(6ヶ月)(5,000mg/kg)と慢性(1‐2年)(500mg/kg)の研究で試験された最も高用量が観察する毒性効果のない(NOEL)用量であり、これはポリコサノールの安全な服用を裏付けている。
2.臨床安全性と忍容性
①過剰摂取
健康なボランティアがポリコサノール最大推奨用量である20mg/日より50倍多い1日1,000mgを一回摂取したときにも良好な耐薬性を示した。 15年間の臨床試験の進行の結果、過量の異常事例は報告されなかった。
②研究中断および異常事例(AE)
ポリコサノールの耐容性は全体的に非常に優れており、臨床または実験室の指標に対する否定的な結果は見られなかった。多くの研究を通して、研究の中断率は一貫していた。異常事例は通常軽微で一時的なものであった。
短期偽薬対照研究では、ポリコサノール群における総中断率および異常症例関連中断率(それぞれ5.7%および0.4%)は対照群(8.6%および3.4%)より低かったが、長期偽薬対照研究の総中断率および異常事例関連研究中断率は、ポリコサノール群ではそれぞれ8.4%および1.7%、対照群では13.4%および5.5%であった。
市販後の副作用調査(PMS)研究では、ポリコサノール群での研究中断発生頻度は非常に低かった(33,740人の治療患者のうち85人、0.3%)。 4年間追跡された市販後副作用調査研究で、ポリコサノール治療患者27,879人のうち38人(0.11%)のみが研究参加を中止したが、5年間追跡された6,611人を対象に行われた市販後副作用調査研究ではポリコサノールの非常に良好な長期耐容性プロファイルを確認した。また、この研究では、ポリコサノール治療群は対象群と比べ合計入院率が13%低く、集中治療室(ICU)での入院率も27%低いことが示された。
3.安全指標に対する効果
薬物関連の異常症例の影響を受けやすい患者でさえ、臨床または血液安全指標について、ポリコサノール(5〜20mg /日)は否定的な結果を示さなかった。したがって、ポリコサノールは、異常な肝機能指標を持つ対象でさえ、筋肉の安全指標と肝臓の安全指標を損なわなかった。また、ポリコサノールは、糖尿病患者のグルコースおよび糖化血色素(HbA1)による評価の結果、血糖調節を損なうことなく良好な耐弱性をもつことが確認された。さらに、ポリコサノールは、低下した腎臓と肝臓の薬物除去力、病気と薬物の高い共存のために、薬物関連の異常症例にさらされやすい高齢患者に非常に安全であることが示された。
4.安全性と耐薬性の結論
総合的に、臨床および市販後の副作用調査研究では、損傷した肝機能をもつ患者と、または有害事象を経験しリスクが高まった状態を人でさえ、ポリコサノールの優れた安全性および耐薬性プロファイルを裏付けている。
監修:ナグモクリニック東京院 女性更年期外来担当医師 斎藤 糧三 医師
2013年よりナグモクリニック東京院で栄養外来と女性更年期外来を担当している。
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